下地調整の重要なポイント5 縁切り作業

投稿日:2019年8月5日  更新日:2024年7月29日

塗装は、

1:下地処理
2:下塗り
3:中塗り
4:上塗り

の流れで行うのが基本。
屋根塗装も同様ですが、一つだけ異なる工程があります。

それが「縁切り」です。

あまり馴染みがない言葉かもしれませんが、屋根塗装を行う上で雨漏りにとても関わる大事な工程となっておりますので、これから屋根塗装をされる方は、ぜひ縁切りとはなにか、ポイントをしっかりと押さえておきましょう!

縁切りとは?

下地調整の重要なポイント5 縁切り作業

「縁切り」は塗装後の隙間を確保して雨漏りを防ぐ作業のことです。
これだけだとなんのことかイメージしにくいですよね?

屋根は軒先から棟に向かって一枚ずつ重ねて葺いています。
屋根は釘を打って張られていて、完全に密閉されているわけではありません。
つまり屋根の重なりのところには隙間があるということ。
これだと水が内側に入って雨漏りすると思われるかもしれませんが、屋根材の下にはルーフィングという防水シートが敷かれていますので、さらに内部まで水が浸透することはありません。

さて、ここでポイントとなるのが「縁切りはスレートを塗装するときに行う作業」ということです。

屋根塗装は、スレートやセメント瓦などのセメント系屋根、トタンや鋼板などの金属屋根に行われますが、その中で縁切りが必要なのはスレートだけです。

また、こちらの条件に該当するスレートは縁切り不要です。

【縁切り不要なスレート】
・勾配が急で自然と水が下に流れる
・スレートが反りや浮きなど十分な隙間を確保できる

それでは次の項では、なぜ縁切りをしないといけないのかお伝えいたします。

なぜ縁切りをしないといけない?

下地調整の重要なポイント5 縁切り作業

スレート塗装で縁切りが必要な理由は、「雨漏りを防ぐため」です。
縁切りをしないと、どうして雨漏りをしてしまうのか?
ここが疑問ですよね。

前述しましたが、屋根は一枚ずつ上に重ねています。
屋根の重なりには隙間がありますが、塗装すると塗膜でこの隙間を塞いでしまいます。
隙間は侵入した雨水を外に逃したり、湿気のこもりを解消したりすることができますが、隙間が塞がれると水分が内側に溜まりやすくなります。

このため、内部に水分が溜まる状態が続くとルーフィングの劣化が早まり、やがて水が浸透して雨漏りを起こしてしまいます

毛細管現象も注意しなければなりません。
物理的に水は下側に流れますが、毛細管現象が働くところでは、水を吸い上げてしまいます。
塗膜で塞がれなかったわずかな隙間は、毛細管現象で水を吸い上げ、内側に水を溜めてしまうということです。

このように内側に水分が溜まるようになると、短期間で雨漏りを起こします。
隙間は屋根を維持するために大事な要素となりますので、スレートを塗装するときは、必ず隙間を確保するために縁切りを行う必要があります。

縁切りする方法は2つ

さて、「縁切りとはどんな作業なのか」「どうして縁切りが必要なのか」の2つをお伝えいたしました。
次は縁切り方法です。

縁切りにはこちらの2つの方法があります。

・塗装後、塗膜を切り込み隙間を確保する方法
・タスペーサーを設置する方法

施工が容易なことから、現在ではタスペーサーを用いるのが主流ですが、こちらは次の項で詳しくお伝えします。

下地調整の重要なポイント5 縁切り作業

「塗装後、塗膜を切り込み隙間を確保する方法」とはどんな方法かご説明します。
縁切り方法は、実は言葉通りということになりますが、上塗りした後にカッターやスクレーパーなどを使い、塗膜に切り込みを入れて隙間を確保します。

この方法にはいろいろと問題があります。

・塗装後に縁切りをするため、傷や汚れがついてしまう
・人の手で一枚ずつ行うため、精度が安定しない
・気温の変化で塗膜が伸縮し、隙間を塞いでしまう可能性がある

現在でもタスペーサーを使わずにこの方法を用いることがありますが、上記のような懸念があるため、施工状況に合わせて縁切り方法を選定する必要があります。

今はタスペーサーで縁切りするのが主流

それでは最後にタスペーサーについてご説明します。 
今ではタスペーサーを使用するのが主流です。 
 
タスペーサーとは、こちらの画像にある厚さ2mm、幅4〜5cmほどの部材です。 
これをスレートの重なりに差し込んで隙間を確保します。 
タスペーサーを差し込むとスレートが厚み分浮き上がり、隙間を確保できる仕組みです。 
 
タスペーサーを使用する利点はこちらです。 
 
・施工が容易
・精度が安定している
・仕上げ前に設置できるため、傷をつける心配がない
・作業時間が短く、工期を短縮できる

屋根の状況によって適宜方法を検討する必要はありますが、タスペーサーはこのような利点があるため、手作業で縁切りすることは少なくなりました。

タスペーサーについてはこちらの「タスペーサーの重要性 ~雨漏りから屋根を守る、タスペーサーとは」で詳しく解説しております。 
良ければこちらもご覧になってください。 

下地調整の重要なポイント5 縁切り作業 

業者の中には縁切りをしない杜撰な業者も残念ながらいます。 
縁切りを適切に行われていないと雨漏りを引き起こしてしまいます。 
雨漏りは建物に大きな被害を与え、寿命をグッと縮めてしまう危険性がありますので、これから屋根塗装を行われる方は、縁切りが正しく行われているか、業者によくご確認ください。 
 
LOHASはお客様が安心して工事を任せていただけるように、お見積もりの内容や工事について詳しくご説明させていただきます。 
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